サッカーには劇的な試合というものが珍しくない。この試合もまさに劇的。84分間お互いに攻め手を欠いたというべきかお互いに良く守ったというべきか、ともかくも得点が生まれない拮抗した内容だった。
しかし84分にステラ藤原加奈の見事なミドルシュートが炸裂したのを皮切りに最後の10分間で双方のチームに2ゴールづつが入るというそれまでとは打って変わった驚きの展開となった。
とりわけ最後のステラのコーナーキックからの得点は不思議というほかはなかった。両チームの選手たちがGK福元美穂の前に密集する中、杉田亜未が蹴ったボールは約30度の角度でそのどまんなかに落ちてくる。ステラの選手たちはそのボールを押し込もうと思ったしレジーナの選手たちは弾き出そうと思った。それは確かだろう。しかし結果的には誰もそのボールに触ることができなかったのだ。まるでなにかの意志を持った生命体であるかのようにボールは地面に落ち、弾んでゴールの中に入っていった。杉田亜未のキックが素晴らしかった。それは間違えないのだが、10数人が密集しているにも関わらず誰もボールに触れなかったのはまことに不思議である。
ただ、こういう不思議な失点があったから勝てなかった、と言えるかというとそうではない。決定的なシーンが2つあった。
ひとつめは28分、平野優花に広島側右サイドを抜け出されたシーン。たまたま平野がトラップミスをしてくれたので松原優菜が対応に間に合い事なきを得たが、平野のミスがなければGKとの1対1になるところだった。
ふたつめは、左サイドを松本茉奈加に抜け出され上げられたクロスを中央で杉田亜未に頭で合わせられたシーン。数的不利はなかったにもかかわらず杉田は完全なフリーで、十分に首を振ってヘディングしていた。少し距離があったし正面でもあったのでGK福元もキャッチできたが、もしグラウンダーのクロスだったら強烈なシュートをもろに食らっただろう。
いずれもショートカウンタを発動された形であるが、こうした守備破綻をなんとかしないといくら点をとっても勝てないということになってしまう。
最後のワンプレーで不思議なことが起こったのは偶然ではなくて、サッカーの神様が勝つべき内容ではなかったぞと勝点3を取り上げたのかもしれない、そんな気がした。
| GK | 福元美穂 | 5.0 | 守備連係の不備を修正していくことができるか注目したい。 |
| RCB | 佐山桃子 | 5.5 | 59分のピンチは裏返されてからマークの受渡しに失敗してのこと。 |
| LCB | 中村楓 | 5.0 | 佐山が上がった先を把握していれば杉田をフリーにはさせなかったはず。 |
| RSB | 松原優菜 | 5.5 | 地味ながら攻守に良い貢献ができている。もっと自信を持ってほしい。 |
| LSB | 木崎あおい | 5.0 | 気の所為なら良いのだが、溌剌とした感じがないのでやはり心配だ。 |
| DMF | 小川愛 | 5.5 | 彼女の展開力はもはや欠かせない。怪我だけは気をつけてほしい。 |
| DMF | 柳瀬楓菜 | 6.0 | なんかおしゃれになってきたのか。その余裕でいけばゴールも決まる。 |
| RWG | 川島はるな | 6.5 | 守備面での貢献が素晴らしかった。シュートがすべて枠にいけば凄いことになる。 |
| LWG | 瀧澤千聖 | 5.5 | 今回は危険な匂いがしていた。遠慮はいらないので暴れまくってほしい。 |
| OMF | 松原志歩 | 6.0 | やればやっただけの成果が得られている。続けていれば大きなチャンスが来る。 |
| CFW | 谷口木乃実 | 5.0 | 惜しいシュートがあったとはいえやはりプレーが単純で淡白過ぎる。 |
| OMF | 齋原みず稀 | 6.0 | 持ち味を発揮することはできていた。もっと速くもっと激しくいけ。 |
| RSB | 島袋奈美恵 | 5.5 | 出れば必ず活躍してくれている。先発で観たいものだが。 |
| LWG | 立花葉 | 6.5 | 持ち前のメンタルの強さで決めたゴールだった。チームを救った。 |