2022-10-25

2022-23 WEリーグ第1節 S広島R 2−1 千葉L

 サッカーはメンタルがモノをいう。まさにそういう試合だった。
開始1分30秒、千葉のコーナーキックのこぼれを瀧澤千聖が拾い左サイドで運び上がった。そして前線中央に走り込んでいた中嶋淑乃を狙ってクロスをあげる。結果、中嶋には当たらなかったが、このプレーには勢いがあった。これを見て、今日は負けない、そう思った。
 試合の入りは良くない。開始早々にコーナキックを取られ、3分には鴨川実歩にバーを叩かれるシュートを浴びてしまった。押し込まれ、再三ピンチを招くそんな立ち上がりではあったが、負ける気がしない。なぜなんだろう。しばらく観ていて腑に落ちた。選手たちが皆チャレンジをしているのである。球際もスルーパスも積極的にチェレンジしている。ロングボールも蹴らされているのではなく狙って蹴っている。ただ、うまくいっている、とは言い難い。縦パスは通らず、ボール奪取は成功せず、ロングボールはターゲットに収まらない。去年はホームでなかなか勝てなかった。選手たちの胸にはその苦しい思いがある。開幕戦がホーム開催となれば緊張するのはやむを得ない。みんな大小いろいろなミスをしている。その点ではのびのびとプレーしている千葉のほうが遥かにプレーの精度が高い。しかしそれでも、選手たちは気後れせずに粘り強くやっていたのだ。この気持ちが観る者に希望を与えてくれたのだと思う。
 37分コーナーキックから失点してしまう。それでも、これで終わりではない、いやむしろ面白くなった、そんな気さえした。そして後半開始直後の中嶋の劇的な得点が生じる。前半、出来が悪いながらも諦めずにチャレンジし続けた前向きな気持ちが生んだ得点だったように思う。

 レジーナは不思議なチームである。これだけプレー精度が悪いと普通は勝てないはずだと思うのだが、終わってみれば逆転勝利である。もちろん際どい勝ち方で、辛うじて拾った勝利である。スタッツを見る限りではシュート数は千葉の9に対してレジーナは5。CKは千葉の5に対しわずかに1。終始押し込まれた展開だったのかという数字である。だが試合を見返してみると前半も後半もけっこうな時間攻めている。ワントップの谷口木乃実には少なくとも3回は決定機があったし、上野真実にもチャンスがあった。これらの決定機に決められなかったのは仕方がない。けれど少なくともシュートが打てていればスタッツの数字から受ける印象もだいぶ変わったものになったはずだ。

 千葉は昨年4位の強豪。この強い相手に対して少々出来が悪くても勝ちをもぎ取ることができる。このチームにはそういう不思議なポテンシャルがある。それを感じることでワクワクできるから、レジーナにはファンが多いのだろう。プレーの精度が上がり、さらにチームがまとまってきたとき、このチームはどこまで行けるのだろうか。

・瀧澤千聖
 さすがはAC長野の背番号10である。カップ戦のときの借りてきた猫のような感じはいったいなんだったのか。開幕戦でしっかりとスタメンを勝ち取ったばかりでなく、チームを引っ張るプレーぶりは見事というほかない。レジーナに来てくれて本当にありがとう。

・中嶋淑乃
 POMは瀧澤に譲ったもののあのゴールは値千金。瀧澤と二人で10点など目標が低すぎる。今年は思い切り爆発してほしい。またいつものとおり守備での貢献がやはり光っている。84分相手GKが素早いスローで速攻態勢に入った瞬間スプリントを始めてプレスに戻り右サイドまで追いかけて千葉のカウンタを潰した守備は感動的だった。

・齋原みず稀
 プレーも正確だったしアイディアもあり判断も速かった。持ち味は出せていた。しかし今求められているのはそのレベルではないことに留意してほしい。谷口をスタメンから引きずり降ろさなければならないのだ。より激しくハイプレスに挑み、ポストプレーを磨いて欲しい。じっくりやっている時間はない。

・佐山桃子、中村楓
 この二人がいなければ負けていた。特に佐山は攻撃面でも効いていた。呉屋絵理子や森宙舞はここをこじ開けてこそ、なので全力で頑張ってほしい。

・増矢理花
 まだ試合勘が戻っていないのか。テンポが周りと少し違うような気がする。もちろん実力はこんなものではないはず。次節に期待したい。

・塩田満彩
 前半はフィードがあまり成功していなかった印象がある。そこは修正してほしいが、気合いの入った守備は観ていて気持ちが良かった。なにはともあれ開幕スタメンでフル出場を果たした。おめでとう。

・福元美穂
 自分のミスから大ピンチになったが、そこで守り切ろうとする姿には鬼気迫るものがあった。この局面もメンタルで相手を上回った結果のセーブだったと思う。控えの3選手は早くこの名キーパーに引導を渡して自分の時代を引き寄せろ。

0 件のコメント:

コメントを投稿