2022-05-07

柳瀬楓菜について

 藤枝順心高校で二年連続全国制覇を成し遂げた10番のキャプテンが、広島へ来てくれた。それを想うだけでもう胸がいっぱいになる。
 なぜ広島へ来てくれたのか、それはわからないが、きっと他のクラブからもオファーはあったはずだ。その中には相当有力なクラブもあったことだろう。でも君は広島に入ってくれて、そして瀕死のチームを救ってくれた。第17節の相模原でのことである。


 誰もが口にするその豊かな才能。けれども彼女を最初に観た時に私は特別なものは感じなかった。なんという不明か。恥じ入るほかはない。しかし今、彼女の身体をよく見れば判る。神様と呼ばれた男ディエゴ・マラドーナにそっくりなのだ。顔は似ていない、いや仮に似ていたとしても顔は関係ない。身体である。その特徴はここでは敢えて書かないでおこう。そういえばかつてサンフレッチェにも似た体格の選手がいた。前田俊介だ。僕らはその天才を未だに諦めることができずにいる。
 そんな彼女にはひとつ不思議なことがある。彼女がスルーパスを出す時、あるいはボールを奪いに行く時、その足が突然長くなるのだ。ピロピロ笛のように、長くなる。こんなへんてこな選手は見たことがない。前田俊介の足だって別に伸びたりはしなかった。

 最後に少し残念なことを書かねばならない。たぶん来年のリーグ戦で彼女は今と同じようにはプレーできない、ということだ。各チームは必死になって柳瀬楓菜対策をしてくるからだ。それを怠るチームは間違えなく広島にやられてしまう。だからどのチームも必ず柳瀬楓菜を研究する。その結果、彼女は厳しいスランプに陥ることだろう。そうなればレジーナもまた停滞の時期になる。でもかまうものか。今年と同じように新しい自分を獲得すればいい。そうすればまたブレークできるのだ。より大きく、より強く。

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