前半の終了間際、長野の三谷沙也加が負傷退場してしまった。これがこの試合のターニングポイントだった。
前半は長野のハイプレスの強度がともすると広島を上回っており、双方ともに前線にボールを入れることができない展開となった。もし最終ライン付近でボールを奪われたら即失点のピンチになる。観ている側もヒリヒリするような恐ろしく緊張感の高い試合展開である。前節は大車輪の活躍を見せた小川愛がこの長野のハイプレスのため攻撃面で機能しなくなったのは衝撃だった。小笠原監督の術策にはまってしまった感があり、もはや絶体絶命なのかと青ざめたのである。カメレオンサッカー恐るべし。
しかし38分、長野ゴール前の攻防で三谷沙也加が足首を痛めて負傷交代となる。広島の選手との接触ではないように見えたがどうなのだろう、いずれにしろ大事がないことを祈るのみである。そして程なく0対0のままハーフタイムとなった。
後半が始まってこれまた驚くことになる。両チームともハイライン/ハイプレスのガチンコ対決だった前半とは打って変わって、双方が改めて相手の出方を探り合うかのような慎重な姿勢をとっている。両チームとも選手交代はないのに、これはどうしたことか。前半戦があまりにも激しい戦いであったがゆえに肉体も精神もスローダウンを求めたということかも知れない。しかし振り返ってみると三谷選手の退場以降はお互いが攻め込みあってチャンスを作るようになっており、それまでの均衡が崩れ始めていたとみることもできよう。三谷に変わって入った八坂芽依もハイプレスのハードワークはしっかり行っていたのだが、戦術の理解度や表現においては三谷に及ぶべくもなかったのか、そこはよくわからない。
しかしともかく、長野のハイプレスが緩んでくれば、小川愛が自由に活動できる。小川が自由になれば柳瀬楓菜が輝きを増すのが今のレジーナだ。結果、押し込んでいく展開が増え、長野はロングボールに頼らざるを得なくなった。かくして大勢は決して、上野真実の頭の上にリフレクションのボールが落ちてくるという理屈では説明の難しい不思議なゴールが決まった。
前回対戦は第9節、0−1で広島リードの90+2分に五嶋京香、90+3分に瀧澤千聖がゴールしてまさかまさかの大逆転。絶望の雰囲気が漂っていた長野Uスタジアムは一瞬のうちに歓喜のるつぼとなり、広島は眼の前が暗くなった。なぜこういうことが起こったのかは未だによくわからない。そして今節のこの展開である。それぞれその時点でのそれぞれの実力がそれぞれの結果を招じた、のかもしれないし、もはや実力に差はなく単なる運命の悪戯なのかも知れないが、どちらにせよ前節の新潟と同様、来期の対戦がどういう展開になるのか、楽しみでしかたがない。
| GK | 福元美穂 | 6.0 | 長野にほとんどシュートを打たせないというみごとな結果を導いた。 |
| RCB | 佐山桃子 | 6.5 | 股抜きを狙われて抜かせなかっただけでなく機転の効いたプレーが随所にみられた。 |
| LCB | 中村楓 | 6.5 | 長野の決定機をブロックしたのみならず正確なフィードでチャンスメークもしていた。 |
| RSB | 松原優菜 | 5.5 | やはり左足のロングパスはこのチームにとって大きな武器だ。 |
| LSB | 木崎あおい | 6.5 | ワクワクさせてくれる木崎あおいが戻ってきた。あのシュートが決まっていれば7.0。 |
| DMF | 小川愛 | 6.0 | 前半は消えていた時間もあったが彼女が活きればチームが活きる。 |
| DMF | 柳瀬楓菜 | 6.0 | 危険なミスもあったがそれを上回ってあり余る活躍。 |
| RWG | 川島はるな | 5.5 | 気の毒だが期待値がぶち高いのでその分評価点が常に下がってしまう。 |
| LWG | 中嶋淑乃 | 6.5 | 再三のサイド突破もさることながら守備貢献度がとても高い。 |
| OMF | 上野真実 | 7.0 | 得点王が取れるかもしれないという緊張を突き抜けたゴールだった。 |
| CFW | 谷口木乃実 | 5.5 | ポストプレーはどんどん上手くなっている。あとはフィニッシュするのみ。 |
| RWG | 立花葉 | 5.5 | 目立つシーンこそなかったが可能性は感じさせてくれた。守備も良かった。 |
| RSB | 塩田満彩 | 6.0 | ロングスローからシュートの一連のプレーは見事だった。ロングシュートも打ってくれ。 |
| LWG | 島袋奈美恵 | 5.5 | 時間は短かったが、中嶋の代わりに出ても遜色ない働きが期待できる。 |
| DMF | 近賀ゆかり | 5.5 | この人が出てくればもう大丈夫という気にさせてくれる。 |
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